「警告書」を受け取ったのですがどうすればよいでしょうか?

質問テーマ:補償金請求権

【 質 問 】

当社が販売している製品に対して、「自社の特許出願に抵触する」、「補償金」などと記載されている「警告書」を受け取ったのですがどうすればよいでしょうか?

回 答

今回のご質問は、出願公開が行われた後に、公開特許公報に掲載されている発明を実施している第三者に対して特許出願人が送付できる補償金請求権の警告書に関するものです。

補償金請求権の警告書を受け取ったときの対応

上記の警告書を送付しても、補償金請求権を行使できるのは特許権が成立してからです。すなわち、特許権が成立しなければ、警告書送付後、特許権成立までの実施行為に対して遡って実施料相当額を請求することはできません

すべての特許出願は、原則として、出願日から1年6月経過した時点で出願公開されますが、そのうち30~35%程度は出願日から3年の間に審査請求が行われないことで出願日から3年経過した時点で消滅します。また、審査請求したものの中で特許成立するのは60~70%程度です。すなわち、公開特許公報が発行されたものの中で最終的に特許成立するのはその中の40~50%程度です。しかも、審査の過程で特許出願前に存在していた先行技術文献を指摘され、進歩性の存在を主張するために、公開特許公報が発行された時点よりは特許権の効力が及ぶ範囲が狭くなって特許成立することが多くなります。

このため、公開特許公報の特許請求の範囲の記載では特許権侵害になる可能性があったが、審査の結果、特許成立しなかった、あるいは、特許成立したが特許権の効力が及ぶ範囲が狭くなったので特許権侵害にはならず、補償金請求権も行使できないことになるのがよくあります。

そこで、補償金請求権の警告書を受け取ってもあわてることなく、「特許庁での審査の結果を待ちます」として実施行為を継続することが可能です。また、警告書を送ってきた特許出願に特許成立しないように、先行技術文献を特許庁に提出して審査に利用してもらうようにすることもできます。

いずれにしても、公開特許公報発行後に公開特許公報掲載の発明を実施している第三者を発見した、あるいは、上述した補償金請求権の警告書を受け取った場合には、専門家である弁理士に対応を相談することをお勧めします。

補償金請求権の警告書を送付した者が負う責任は?

公開特許公報に掲載されている発明を実施している者に対して補償金請求権の警告書を送付したところ、相手方が実施行為を中止し、例えば、購入していた原材料を費用発生させて廃棄処分した、等の対応まで行ったにもかかわらず、特許庁の審査で特許権は成立しなかった、ということが起こり得ます。このような場合でも、補償金請求権の警告書を送付していた特許出願人が損害賠償請求(民法第709条)などの責任追及を受けることはありません

特許と同じく、技術的思想の創作を保護するものとして実用新案権がありますが、実用新案権の場合、警告を行った後に、その実用新案権が無効審判請求を受けて無効になってしまったときには、警告書を送付した実用新案権者が無過失賠償責任を負うことがあります(実用新案法第29条の3)。この点が、公開特許公報発行後に償金請求権の警告書を送る場合と大きく異なります。

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